2019年07月13日



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 吉村昭の落日の宴を読みました。幕末の徳川幕府の勘定奉行、川路聖謨を主人公にした小説です。
ロシアの使節プチャーチンとの交渉の顛末が主な内容です。長崎、下田と舞台を移しながら話は進みます。幕末の西洋列強が相次いで日本に開国を迫る時期の難しい外交交渉の様子がよく解って興味深いです。川路は、武力に勝る相手に礼を尽くしつつ毅然とした態度で交渉にあたります。プチャーチンも結構紳士的に応じます。今のプー何とかより人間は上等です。交渉の半ばで安政大地震が起こります。ロシアの艦もその時の津波で損傷してしまい船底からの浸水が止まりません。下田は津波でほぼ壊滅状態で修理が出来ません。戸田という所に回航して修理するはずが嵐に遭遇して結局沈没してしまいます。
ならばと日本人の船大工が初めて洋式帆船を建造することになりました。このあたり、幕府も金が無いのに手厚く遇しています。のちの交渉を円滑にという思惑もあったんでしょう。結局、その船でプチャーチン達は帰国します。そうこうするうちに下田にアメリカ船が入って総領事ハリスが到着します。今度はハリスが相手です。この男のほうが強引に思います。武力ではまったくかなわないので本当に難しい交渉です。まあなんやかんやと問題山積ですが何とか片づけていきます。川路は幕府官僚のトップまで上り詰めますが、脳梗塞で不自由な体になってしまいます。最後は江戸城明け渡しの日に自害します。まあ徳川幕府に殉じたわけです。この本、どちらかというと幕府側の視点で描かれています。勝者(長州、薩摩)の視点から描かれたものは随分と多いですが、敗者にも理があると思わせる内容で面白かったです。



(19:29)

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