ベンチ
2021年01月16日

15年程前に作ったベンチが里帰りしてきました。大阪の画廊で応接用にお作りしたものです。その画廊が移転してスペースが狭くなったので置けなくなりました。使っている間に小傷も出来たので、補修します。この春から、ご家族の方の新居で使われるそうです。新婚間もないご夫妻です。ご家族と共に一家の歴史を刻んでくれたらいいなと思います。

ヤマザクラ材です。漆が透けてヤマザクラの色が綺麗に出ています。W1500 H850 D550 です。二人がゆったりと座れます。

座板は一枚板です。最近ではこの幅の取れるヤマザクラ材は少なくなりました。背の部材は一本ずつ削り出しています。

ヤマザクラも良材は減ってきています。ソメイヨシノばかりでは無くヤマザクラも植林して欲しいものです。みんなでワイワイとソメイヨシノの下でお花見もいいんですが、山中のヤマザクラを一人眺めるのもいいもんです。
もろともに あわれと思へ 山桜 花よりほかに 知る人もなし 行尊
2019年01月29日

一昨日に東京のお客様のご自宅にお納めしたベンチです。テーブルは以前にお求めになられたセンの一枚板です。耳付き(木工用語で端を自然なまま残した状態です)の天板です。このベンチも片面は自然の雰囲気で仕上げました。以前は背もたれ無しのベンチをお使いでした。主にお客様が座られるので背もたれ付きがいいのではと提案させていただきました。実際にお座りになってこれは楽ですねとお気に入っていただけたようで嬉しい限りです。

W1650 D530 SH410 H710です。座はタモの一枚板、背、脚はブナです。拭き漆仕上げです。漆の経年変化(紫外線で色が薄くなってきます。数少ない漆の欠点です)を見込んで濃い目の色に仕上げています。

テーブルの下のバスケットではワンちゃん(チワワ)が寝ています。穏やかな日曜のお昼前です。
2019年01月18日
三人掛けのベンチを制作中です。

座板です。タモの一枚板です。目が荒いので国産材だと思います。(ロシア産は目が細かいです)長さ1650mm、幅480mm、厚さは40mmです。10年以上前に岐阜の市で買いました。乾燥は充分です。ベンチにドンピシャの姿でした。この状態で前の側面(木工用語でコバと言います」をカンナ掛けしています。

タモは硬さはやや柔らかいです。この材は硬いほうです。目の細かい(ヌカ目と言います)材は柔らかいですね。建具などにはヌカ目の柾材を使います。

足の部材です。オーソドックスな4本脚です。

脚です。ブナ材です。

脚と脚を前後で繋ぐ貫です。ブナ材です。

脚を繋ぐ貫と座板を繋ぐ貫です。やはりブナ材です。明日、組み立てます。組み上がった状態の画像を明日アップいたします。
2018年08月07日

昨日、お作りいただいた栗材のベンチです。生徒さんは幼稚園の年中さんの男の子です。お父さん、お母さんと三人がかりでした。W700 D300 H350の小ぶりなベンチです。脚はブナ材、ワトコオイル仕上げです。まあ実際は私がほぼ作った様なもんです。 男の子よりお父さんのほうが楽しそうに作られていました。お母さんも脚や座のペーパー掛けを一生懸命にされていました。

脚は座面を貫通させてアフリカ材の硬い楔を打ち込んでいます。安定がいいように脚の角度を大き目に設計しました。当然座面に開ける脚のほぞ穴も角度がついています。面白かったのはお母さんが斜めに穴をあける方法に興味津々だったことです。ボール盤(ドリルが上下する電動工具です)のベッドが傾斜するのを見て合点がいったようでした。

男の子が大きくなって、そういえばお父さんとお母さんと一緒に作ったなあと思いだしてもらえたら嬉しいですね。
2018年02月14日

小ぶりなベンチです。W750 D400 SH(座面の高さです)H730 ㎜です。座、笠木はトネリコ材です。硬くて粘りのある材です。野球のバットにも使われています。本州中部以北に山地に自生しています。あまり大きくなりません。せいぜい、直径50cm位です。背のスピンドル(丸棒部分です)、脚はブナ材です。こちらは多分東欧産です。日本でもブナはありますが(白神山地の自生地が有名です)、安定供給出来る量は無いようです、あちらは計画的に植林、伐採しているようです。仕上げは拭き漆です。玄関に置いて靴の脱ぎ履に使ったり何か飾ったりするといいでしょう。部屋の隅にさりげなくあるのもいいでしょう。使い込めば漆が透けてきれいに木目が見えてきます。育つ家具です。
2017年11月18日

新作のベンチです。W2000 D550 SH410 H900です。座は栃の一枚板、背と脚はカエデです。拭き漆仕上げです。3人ゆっくり座れます。女性なら4人でも大丈夫です。美しい姉妹が座れば絵になりそうです。このベンチは結構濃いめに漆を拭きました。今は少しギラギラした印象ですが数年すれば漆が透けて木目も綺麗に浮かび上がってきます。面白い杢の栃なので楽しみです。

形式としたらウインザーということになります。イギリス生まれのデザインですが背のスピンドルがなにか日本人にも馴染みやすいですね。今でもウインザーチェアは人気があるのも分かる気がします。
今夏、長野市で見たウインザーチェア展もよかったです。今は東京の日本民藝館で開催中だと思います。

こちらは同タイプの小型版です。間違って画像をアップしてしまいました。削除出来ないので見てください。
長いベンチ、久しぶりに作りましたが楽しかったですね。どなたかオーダーして下さればいいんですが・・・
2017年10月02日
2017年04月02日
2017年03月27日
この4月に開園する西京区の保育園のベンチ数点をお作りしました。
最初は2階のコーナーに設置したベンチです。
材はミズメザクラです。と言ってもサクラの仲間ではありません。カバノキ科カバノキ属です。サクラはバラ科サクラ属です。名前の由来は樹皮を傷つけると水のような樹液が出るかららしいです。以前に何本か原木を買いましたが樹皮をはがすとサロメチール臭がしました。ヨグソミネバリという変わった呼び名もあります。石川県の山中あたりの木地師はハンサと言います。魚と一緒で地域によって呼び名も変わるようです。(例えば、近畿ではコナラをホウソと呼びます。)硬くて重い材です。比重は0,7くらいです。上の画像の背もたれを見てもらうとよく解ると思いますが、中心部が赤っぽい色で外側に白い部分があります。これはカバノキ科の特徴です。銘木屋や家具屋は芯に近い赤い部分が多い材を赤身が張ってるとか言って有難がります。最近は広葉樹の良材はどの樹種に限らず枯渇しています。赤身がどうとか言っていられない時代になってきました。広葉樹を植林するとか計画的に持続可能な伐採をするとか一切頓着せず伐り続けた報いです。世界に冠たる良質な日本産広葉樹の見る影もありません。今では、情けない事に北米材やら世界中の広葉樹で仕事をしている有様です。100年後の木工家(もし木工がまだ続いていたらですが・・・)にはずいぶんと恨まれる事でしょう。
W1900 D700 H750 SH250 板厚45mmです。材の形を生かしています。この保育園を設計された間工作者さんではウサギさんベンチと呼んでいます。制作中は子供たちが並んで座ったら可愛いだろうなとか、座の上で寝転ぶ子供もいるだろうなとか想像して楽しくなりました。未来のある子どもが使うものを作るのは夢があります。